『大苫邊尊 ― 阿波に残る名を持たぬ始まりの神』(電子本)
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『大苫邊尊 ― 阿波に残る名を持たぬ始まりの神』
序文
日本神話は、整えられた物語として語られてきた。
しかし阿波の地には、その物語が始まる以前の気配が、今も静かに残っている。
阿波には、由緒も説明も持たない小さな神社が多い。それらは忘れられたのではない。あまりにも古く、語られなかった祈りなのである。
本書が見つめる 大苫邊尊は、王の神でも、系譜を持つ神でもない。人が苫を掛け、そこに留まり、言葉になる前に捧げた祈りの「場」に宿った神であった。
本書は、阿波の地に残る沈黙を辿りながら、日本神話の前にあった世界を静かに描いていく。
――祈りは、物語よりも古い。大苫邊尊は、今を阿波宅宮神社に鎮座する古き神である。
目次(20章)
第一章
阿波という土地の違和感
なぜこの地だけに、古い沈黙が残ったのか。
第二章
記紀神話の外側にいる神々
書かれなかった存在の意味。
第三章
大苫邊尊という名
音として残された原初語〈べ〉。
第四章
苫とは何か
覆い・住居・祭祀の始まり。
第五章
邊という場所
境界ではなく、祈りが定着した〈ところ〉。
第六章
人格神ではない神
物語を持たない神の在り方。
第七章
阿波に残る名もなき社
由緒がない理由。
第八章
朝宮に残る原初祭祀
「朝」が示す始まりの時間。
第九章
祭祀はなぜ移されたのか
神が動くとき、何が起きたのか。
第十章
社殿以前の祈り
磐座・地形・沈黙。
第十一章
天照以前の世界観
太陽が中心になる前の日本。
第十二章
出雲神話と交わらない層
重ならないからこそ見える古さ。
第十三章
阿波は遅れた土地ではない
早く始まりすぎた場所。
第十四章
言葉になる前の信仰
祝詞以前の祈り。
第十五章
大苫邊尊は誰の神だったのか
王の神ではなく、人の神。
第十六章
消されたのではない神
隠され、残された存在。
第十七章
小さな社が守った記憶
大きな物語が覆えなかったもの。
第十八章
阿波から神話を読み直す
中心ではなく、始まりから。
第十九章
大苫邊尊が示す日本の原像
国家以前の祈りの構造。
第二十章(終章)
祈りは今もそこにある
大苫邊尊は過去ではない。
