出雲は阿波にあった ― 日本古代史から消された国の真実 ―(電子本)
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出雲は阿波にあった ― 日本古代史から消された国の真実 ―
序文 歴史は、書かれなかったことによっても語られる
日本の古代史には、奇妙な沈黙がある。それは「阿波」に関する沈黙だ。地理的にも、資源的にも、信仰的にも重要であったはずの阿波は、なぜか正史の中心から外されている。
まるで、最初から存在しなかった国であるかのように。一方で、出雲は神話として手厚く保存された。敗れた側の神々であるにもかかわらず、その物語は今も日本人の精神文化の中核にある。
なぜなのか。本書は、この単純だが誰も正面から扱わなかった問いに挑む。そして一つの仮説にたどり着く。出雲は、もともと阿波にあったのではないか。
もしそうだとすれば、阿波が沈黙させられた理由、出雲が神話として生き残った理由、国譲りの不自然さ、空白の四世紀の意味―すべてが一つにつながる。これは通説を否定する本ではない。通説が説明しきれない“空白”を、阿波から照らす試みである。
目次(20章)
第1章 阿波は本当に辺境だったのか
地理・水運・鉱物資源から見た阿波の実力
「地方」と呼ぶには条件が揃いすぎている国
第2章 出雲神話という不可解な保存
なぜ敗者の神話は、ここまで丁寧に残されたのか
神話が政治装置であるという視点
第3章 国譲り神話の構造的矛盾
平和的譲渡という不自然さ
語られなかった“もう一つの舞台”
第4章 忌部氏と阿波の祭祀中枢
祭祀を担った一族の本拠はどこだったのか
出雲では説明できない阿波の集中性
第5章 翡翠・辰砂・神宝の国
神話に不可欠な鉱物が集まる土地
阿波が「神の国」であった物的証拠
第6章 神山・剣山に残る古層信仰
全国に分布する神山信仰の原型
山が語る、消される以前の中心地
第7章 阿波に残る出雲的地名と神名
偶然では説明できない一致
移動したのは神か、人か、物語か
第8章 出雲は「移された名前」である
地名移動という古代の政治手法
本拠を隠すための再配置
第9章 なぜ阿波は神話化されなかったのか
物語にできない土地の条件
実態を持ちすぎた国の末路
第10章 神武東征と阿波の不在
通過点としての阿波が語られない理由
削除された行程
第11章 卑弥呼以前の女王祭祀圏
シャーマン文化の広がり
阿波が担っていた精神的中枢
第12章 空白の四世紀は何を隠したのか
偶然ではない150年の沈黙
権力移行と歴史編集
第13章 文字を持たなかったのではない
記録されなかっただけの知
阿波の口伝文化という“非公式史料”
第14章 仏教伝来以前の宗教統合
自然神・鉱物神・山の神
国家宗教化される前の阿波
第15章 空海が阿波で見たもの
修行地としての阿波
古層信仰との邂逅
第16章 中央集権と地方史の整理
残す神話、消す拠点
阿波が選ばれた理由
第17章 なぜ出雲は残り、阿波は消えたのか
象徴は保存され、実務は奪われた
沈黙という最も強力な支配
第18章 考古学が語らない阿波
発見されても語られない遺構
研究されないという選択
第19章 阿波出雲説が示す全体像
点と点が線になる瞬間
最も合理的な仮説としての阿波
終章 歴史は誰のために書かれるのか
勝者の記録と土地の記憶
阿波は、今も語られるのを待っている
