日本に本当に文字はなかったのか? ― 書かれなかったサンカの民が残した、記憶 ―
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日本に本当に文字はなかったのか? ― 書かれなかったサンカの民が残した、記憶 ―
序文
日本には、「文字を持たなかった民」がいたと語られてきた。その名を、サンカという。
彼らは書かず、刻まず、記録を残さなかったとされる。ゆえに歴史の中で、語られることもなく、やがて「正体不明の漂泊民」という一言で片づけられてきた。
だが本当に、彼らは何も記さなかったのだろうか。文字を持たないことは、記憶を持たないことと同義なのか。
サンカの人びとは、紙や石の代わりに、山を読み、川を読み、風の向きや音の変化を読み取って生きていた。
道具の形、縄の結び、舟の置き方、足跡の残し方―そこには、外からは見えにくいが、確かな情報体系が存在していた。
それは文字以前の文化であり、同時に、文字とは異なる進化を遂げた「知のかたち」でもある。
この書では、それを仮に「サンカ文字」と呼ぶ。書かれず、固定されず、支配にも利用されなかった知。
文字以前、あるいは文字とは異なる形で存在した「サンカ文字」という概念を通して、日本列島の深層に横たわる、非文字の知を読み解いていく。
目次・(全20章)
第1章 サンカは本当に「文字を持たなかった」のか
文字不在という通説への疑問。
第2章 文字以前の情報伝達
声・身振り・位置が果たした役割。
第3章 自然を読むという文字
山・川・風・音を情報として扱う感覚。
第4章 道具に刻まれた意味
籠・舟・竿・結びに込められた符号。
第5章 結縄と配置の記憶
縄文的記憶装置との連続性。
第6章 サンカの「しるし」
痕跡・目印・通過点に残された合図。
第7章 言葉を固定しない文化
書かないことの利点と強さ。
第8章 文字がもたらす支配
なぜ国家は文字を必要としたのか。
第9章 戸籍・文書を拒んだ民
サンカと非登録の思想。
第10章 忍び・修験と非文字文化
秘伝が文字化されなかった理由。
第11章 音とリズムの伝承
歌・拍・間による記憶継承。
第12章 サンカ文字と縄文記号
土器文様・配置思想との比較。
第13章 「読める者」だけが理解する世界
外部者に解けない暗号性。
第14章 書かないことで消えた歴史
史料に残らなかった理由。
第15章 民俗に残る非文字の痕跡
各地の伝承に潜む共通構造。
第16章 文字化された瞬間の喪失
記録と引き換えに失われたもの。
第17章 サンカ文字は今も生きている
現代に残る感覚的継承。
第18章 AI時代と非文字知
再評価される身体知・直感知。
第19章 日本文化の二重構造
文字文化と非文字文化の共存。
第20章 書かれなかった民が残したもの
サンカ文字が問いかける未来。
