百済の墓誌(ぼし)に出てくる「島王(しまおう)」 ― 百済史料が語る、もう一つの倭国像 ―(電子本)
¥1,100
残り1点
International shipping available
百済の墓誌(ぼし)に出てくる「島王(しまおう)」 ― 百済史料が語る、もう一つの倭国像 ―
序章
『日本書紀』には登場しないが、百済の墓誌(ぼし)という一次史料には確かに刻まれた言葉――「島王」。
それは「天皇」でも「倭王」でもない。百済人が現実に向き合い、外交し、同盟した列島側の王の呼び名である。
本書は、墓誌に刻まれた「島王」という一語から、古代日本が「一王国家」ではなかった可能性を読み解く試みである。
目次(20章)
第1章 墓誌とは何か ― 文献よりも近い歴史
墓誌の性格と信頼性
編纂史書との決定的な違い
「書かれた瞬間の政治認識」という価値
第2章 百済墓誌の世界
百済における墓誌文化
中国式官位・称号の使用
対外関係が正直に刻まれる理由
第3章 墓誌に現れる倭
百済人は倭をどう見ていたか
「国」ではなく「世界」「領域」としての倭
列島=島嶼連合体という認識
第4章 「島王」という語の出現
島王という表現が意味するもの
倭王・日本王との違い
なぜ「島」という語が選ばれたのか
第5章 島王は固有名か、称号か
個人名ではない可能性
代表王を指す総称説
状況ごとに変わる「島王」
第6章 中国世界観から見た「島」
中国史書における島嶼観
海上国家へのまなざし
陸の王と海の王の違い
第7章 百済と倭 ― 主従か、同盟か
日本書紀の「朝貢」表現の再検討
墓誌が示す対等関係
技術・人・軍事の相互依存
第8章 島王は天皇ではない
天皇号の成立時期
百済史料に天皇概念が現れない理由
「後から作られた唯一王」
第9章 島王は一人ではなかった
列島内の複数王構造
地域ごとの実力王
調停者としての「代表島王」
第10章 瀬戸内海という王の道
海上交通が生んだ政治権力
島王たちのネットワーク
海を制する者が王だった時代
第11章 阿波・淡路の島王圏
東西航路の結節点
忌部・海部勢力との関係
百済にとっての「最重要拠点」
第12章 出雲と島王
出雲王権との並立関係
大国主は島王だったのか
国譲り神話の再解釈
第13章 卑弥呼と島王連合
卑弥呼は「女王」か「調停者」か
中国史書との符合
島王連合の象徴的存在
第14章 技術を運ぶ王たち
製鉄・造船・祭祀技術
百済技術者の受け入れ主体
天皇ではなく島王だった理由
第15章 なぜ日本書紀は島王を消したのか
編纂の政治的意図
多王制の否定
一系王朝神話の確立
第16章 国造・県主への格下げ
王から「臣」への変換
呼称の変更が意味するもの
歴史の再ラベリング
第17章 島王を失った列島
海上国家から陸上国家へ
権力構造の中央集権化
古代日本の分岐点
第18章 墓誌が残した“消せない証拠”
日本側史書では消せても
石に刻まれた言葉は消えない
墓誌の静かな反証力
第19章 島王という視点で読み直す古代史
神話・史書・考古の再接続
阿波・出雲・瀬戸内の再評価
日本史の中心はどこだったのか
第20章 島王の国、日本
日本は「王なき国」ではなかった
「一王国」でもなかった
島王たちがつくった連合文明
終章メッセージ
島王とは、消された王ではない。
見えなくされた王である。
そして墓誌は、その名を、静かに、しかし確かに刻み残していた。
