『日本の始まりは、誰の声で語られたのか ― 書かれなかった語り部・稗田阿礼の正体 ―』(電子本)
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『日本の始まりは、誰の声で語られたのか ― 書かれなかった語り部・稗田阿礼の正体 ―』
序文(立ち読み用)
日本の始まりは、文字で書かれたのだろうか。それとも、誰かの「声」によって語られたのだろうか。
私たちは『古事記』を読むとき、そこに記された言葉を「最初」だと思いがちだ。
だが、その言葉が書かれる以前に、確かに存在したものがある。
それは――声である。
天武天皇の時代、神代から続く物語、天皇の系譜、国の記憶は、
一人の語り部によって暗唱されていたと記されている。
その名は、稗田阿礼。
しかし、この人物は奇妙なほど姿を見せない。
性別も、出身も、官位も残されていない。
残されたのはただ、「語った」という事実だけだ。
なぜ、これほど重要な存在が、ここまで徹底して沈黙させられたのか。
それは、日本の始まりそのものが、
個人の声ではあってはならなかったからではないか。
この本は問いかける。
日本の始まりは、誰の声で語られたのか。
そして、なぜその声は、歴史から消えたのか――。
目次(全20章)
第1章 日本の始まりは「文章」ではなかった
文字以前の日本という前提
第2章 古事記は誰が作ったのか
書いた者と、語った者の分離
第3章 稗田阿礼という不可解な存在
名だけが残された語り部
第4章 なぜ「声」が必要だったのか
国家以前の記憶装置
第5章 天武天皇と神話国家構想
神話を統治に変える計画
第6章 暗唱という異常な能力
人間が情報媒体だった時代
第7章 語り部と巫の世界
神と人をつなぐ声の役割
第8章 性別が消された理由
語る者が「個」であってはならなかった
第9章 太安万侶は何をしたのか
**太安万侶**の編集という仕事
第10章 書かれた瞬間、失われたもの
語りが文字に敗れた日
第11章 統一される神話
異伝が消されていく過程
第12章 国譲り神話の再構成
敗者の声はどう処理されたか
第13章 出雲と阿波の古層
中央以前の神話圏
第14章 阿礼は阿波的存在だったのか
地方に残された「声の文化」
第15章 稗田阿礼=個人ではない説
職能名・集団名という可能性
第16章 なぜ阿礼は記録されなかったのか
消されたのではなく、消されたままにされた
第17章 日本書紀との決定的違い
誰のための歴史だったのか
第18章 声を失った日本
文字国家の成立と代償
第19章 それでも声は残った
『古事記』に残る語りの痕跡
第20章 日本の始まりは、今も語られている
声を取り戻すということ
