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勾玉作家・翡翠屋伝次郎の誕生 ―― 石とともに生きる者の、第二の人生 ――(電子本)

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勾玉作家・翡翠屋伝次郎の誕生 ―― 石とともに生きる者の、第二の人生 ――(電子本)

序文(立ち読み用)

人は、ある日突然、人生を変えるわけではない。その始まりは、ずっと前から静かに用意されている。

石も同じだ。川原に転がる石は沈黙しているようで、気の遠くなるほど長い時間を抱えている。人が価値を与えるより前に、石はすでにそこにあった。

勾玉作家・翡翠屋伝次郎の第一の人生は、四十五年にわたる石の商いだった。宝石としての石、商品としての石。価値を測り、売り、流通させる世界で生きてきた。

だが、なぜか手放せない石があった。価値があるはずなのに、心が動かない石もあった。その違和感が、阿波という土地で形を持つ。

鮎喰川の川原で出会った、名もなき石。それは宝石ではなかったが、確かに語りかけてきた。削るのではなく、現れてもらう。その感覚が、人生を静かに裏返した。

この本は成功談ではない。石を通して、人の人生の節目に立ち会う者が生まれた、その記録である。

目次(20章構成)

第1章 最初に出会った石
少年時代、名も知らぬ石を手にした瞬間。
それは「商品」でも「宝石」でもなく、ただ不思議に心を離さない存在だった。

第2章 46年の第一の人生
商いとしての石、価値としての石。
長い年月、石と共に生きながらも、まだ本当の「答え」には辿り着いていなかった。

第3章 違和感として残ったもの
売れる石と、残る石。
説明できない違いが、心の奥に澱のように積もっていく。

第4章 阿波という土地
山があり、川があり、海がある。
阿波は「始まりの国」だった。
石が、文化として生きていた土地。

第5章 鮎喰川での転機
川原に転がる、名もない石。
だがそこには、加工される前の「意志」があった。

第6章 なぜ阿波翡翠は評価されなかったのか
― 市場と文化のあいだにある断絶 ―
見落とされてきた石の基準

第7章 勾玉という形
なぜ剣でも鏡でもなく、勾玉なのか。
欠けた形が、完全だった時代。

第8章 削るという行為
作るのではない。
削って、現れてもらう。
勾玉作りは、対話だった。

第9章 石に宿る時間
一億年の静けさ。
人の一生など、石にとっては一瞬にすぎない。

第10章 第二の人生の始まり
46年の経験は、ここで無駄にならなかった。
「売る」ための人生が、「伝える」ための人生へ変わった。

第11章 翡翠屋伝次郎という名
なぜ屋号を名乗ったのか。
それは個人ではなく、系譜として生きる覚悟だった。

第12章 勾玉は商品ではない
身につけるものではある。
だが本質は、持ち主の人生と結びつく「節目」だった。

第13章 神話と現代のあいだ
イザナミ、アマテラス、大国主。
神話は遠い物語ではなく、今も石の中に眠っている。

第14章 オレンジ瑪瑙が語ったこと
なぜこの色は、ここで生まれたのか。
石は、土地の記憶を映す。

第15章 選ばれる勾玉、選ばれない勾玉
すべての人に、すべての石が合うわけではない。
それでいい。

第16章 教えるという仕事
作ることよりも、伝えることへ。
勾玉作りは、技術ではなく姿勢だった。

第17章 石と人をつなぐ場
教室、対話、体験。
そこに生まれたのは、静かな共同体だった。

第18章 阿波の石文化を残す
消えかけたものを、声高に叫ばず、そっと手渡す。
それが翡翠屋伝次郎のやり方だった。

第19章 なぜ今、この本を書いたのか
これは成功談ではない。
生き方の記録であり、選択の物語だ。

終章 石は、次の人へ渡っていく
勾玉作家・翡翠屋伝次郎は完成しない。
石が渡り、人が変わるたび、物語は続いていく。

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