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天之御中主神 ― 語られなかった始まりの神(電子本)

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天之御中主神 ― 語られなかった始まりの神

序文(立ち読み用)

日本神話には、ほとんど語られない神がいる。名は記されているのに、物語を持たず、姿も行為も描かれない。

天之御中主神――天地が分かれるより前、最初に現れ、そしてすぐ沈黙した存在である。
多くの神が「治め」「生み」「争う」物語を持つなかで、この神だけは何もしない。ただ、そこに在る。

命じず、裁かず、導かず、中心として静かに世界を支える。その沈黙は欠落ではなく、むしろ日本神話の最深層を示す痕跡ではないだろうか。

本書は、天之御中主神を「創造神」や「主神」としてではなく、物語以前の存在、信仰の原点として読み直す試みである。なぜこの神は語られなかったのか。

なぜ後の時代、表舞台から退いたのか。そして、その記憶はどこに残されたのか。

阿波の地に残る中心信仰、石や場に宿る感覚、形にならない祈り。本書は、それらを手がかりに、名もなく、姿もない神の意味を静かに掘り起こしていく。

目次(22章構成)

名を持たぬ神から、すべては始まった
― 物語にならなかった“最初の存在” ―

第1章
天之御中主神とは何者か
― 最初に現れ、最初に沈黙した神 ―

第2章
なぜ「姿」が語られないのか
― 神話における異例の存在 ―

第3章
高天原の前にあったもの
― 天地開闢以前の世界観 ―

第4章
独神(ひとりがみ)という思想
― 集団神話以前の信仰 ―

第5章
言葉を持たない神
― 命令しない、裁かない、導かない ―

第6章
造化三神の筆頭という位置づけ
― 天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神 ―

第7章
「中心」に立つという意味
― 御中主という名の本質 ―

第8章
天と地をつなぐ軸
― 世界構造の中心点 ―

第9章
陰陽以前の存在
― 二元論が生まれる前 ―

第10章
なぜ物語から消えたのか
― 語られない神の宿命 ―

第11章
政治神話からの排除
― 支配に都合の悪い神 ―

第12章
「治めない神」という異質さ
― 国譲り神話との決定的違い ―

第13章
天照大神との距離
― 主神でありながら表に出ない理由 ―

第14章
阿波に残る始原信仰
― 中心を祀るという感覚 ―

第15章
地名・山・石に残る痕跡
― 人ではなく“場”としての神 ―

第16章
勾玉・円・中心信仰
― 形に現れた天之御中主神 ―

第17章
秀真伝・古層文献との接点
― 書かれなかった神の記憶 ―

第18章
世界神話との比較
― 創造神ではない創始存在 ―

第19章
祈りの原点としての天之御中主神
― 願いではなく「整え」 ―

第20章
現代における意味
― 中心を失った時代に必要な神 ―

第21章
なぜ今、天之御中主神なのか
― 騒がぬ神が語りかけるもの ―

終章(第22章)
名もなく、姿もなく、それでも在る
― 日本神話の最深層 ―

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