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『阿波辰砂の歴史 ― 丹が結んだ祈り・技術・王権 ―』(電子本)

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『阿波辰砂の歴史 ― 丹が結んだ祈り・技術・王権 ―』(電子本)

序文(立ち読み用)

朱は、ただの色ではなかった。それは祈りであり、力であり、生と死の境を越えるための媒介だった。日本列島の古代遺跡に残る赤は、偶然に塗られた装飾ではない。

その多くが、明確な意図と信仰のもとに選ばれた「辰砂(丹)」によるものである。

本書が注目するのは、その丹の源流の一つ――阿波の地である。阿波は、勾玉や石の文化、祭祀の痕跡を色濃く残す土地であり、辰砂を生み出す地質と、扱う技術を併せ持っていた可能性が高い。

しかし、その重要性は記紀の中でほとんど語られていない。

なぜ阿波の丹は沈黙したのか。なぜ朱は、神と王に選ばれたのか。石と山、祈りと技術、人と権力――

本書は、阿波辰砂の歴史を通して、日本古代史の深層に静かに光を当てる試みである。

目次(20章構成)

第1章
辰砂とは何か ― 石から生まれる「朱」
辰砂(硫化水銀)の性質と、世界史における位置づけ。

第2章
朱の色が持つ意味 ― 血・太陽・再生
赤が「生」と「神」を表した理由。

第3章
日本列島と辰砂 ― 古代朱文化の成立
日本における朱利用の始まり。

第4章
阿波の地質 ― 辰砂を生む土地
阿波の山地・断層・鉱脈が持つ特異性。

第5章
阿波に残る辰砂伝承と地名
丹生・朱・赤にまつわる地名と伝承の分析。

第6章
弥生時代の辰砂 ― 祭祀と死生観
墓・骨・器に塗られた朱の意味。

第7章
古墳時代の朱 ― 王権の色へ
支配者の象徴としての丹。

第8章
阿波産辰砂はどこへ運ばれたのか
海路・川筋・交易ネットワークの復元。

第9章
辰砂と勾玉文化 ― 石と朱の結合
阿波の石文化と朱が結びつく瞬間。

第10章
忌部・技術集団と辰砂
採掘・精製・調合を担った人々。

第11章
丹生信仰の原型 ― 阿波にあった可能性
丹生神社信仰の起源を阿波から読み直す。

第12章
辰砂と医療・呪術
薬・護符・延命思想としての丹。

第13章
水銀技術と古代日本の科学力
辰砂精製が示す高度な知識。

第14章
記紀が語らない辰砂
なぜ阿波の丹は正史に書かれなかったのか。

第15章
阿波は「供給地」だったのか
中心ではなく「始まり」としての阿波。

第16章
卑弥呼と朱 ― 女王と丹の関係
魏志倭人伝の「朱」を再解釈する。

第17章
仏教伝来と辰砂の変容
朱はどう宗教的意味を変えたか。

第18章
中世以降に消えた辰砂の記憶
禁忌・危険・管理の歴史。

第19章
考古学と最新研究が示す阿波辰砂
近年の調査・分析から見える事実。

第20章
阿波辰砂とは何だったのか
石・色・祈り・技術を結ぶ総括。

終章
丹の国・阿波という視点
阿波は周縁ではなく、
「色と力の始まりの国」だったのではないか――。

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