『阿波出雲と四飛騨― 消された多王権国家の原像 ―』(電子本)
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『阿波出雲と四飛騨― 消された多王権国家の原像 ―』(電子本)
序文(立ち読み用)
日本の古代史は、「一つの王が国を治めた」という前提で語られてきた。だが、その物語はあまりにも整いすぎてはいないだろうか。
阿波出雲、地理的にも文化的にも重要でありながら、記紀の中で周縁に追いやられ、あるいは沈黙させられた土地がある。
そこには、王が王座に就く以前、日本列島を支えていた別の統治構造が存在していた可能性がある。
本書が描くのは、阿波出雲を祭祀と調整の中枢とし、四国阿波を山岳技術の拠点とする「多王権国家」という日本の原像である。
それは支配ではなく分業によって成り立ち、血統ではなく役割によって結ばれた秩序だった。
なぜ彼らは歴史から消えたのか。そして、何が今もなお山と石と祈りの中に残されているのか。この一冊は、日本の「始まり」を、もう一度ほどき直す試みである。
目次(20章構成)
第1章 日本の始まりは「一つの王」だったのか
記紀が前提としている単一王権史観への疑問。
なぜ日本の始まりは、あまりにも整いすぎているのか。
第2章 記紀が語らなかった国々
書かれた国と、書かれなかった国。
飛?・阿波・出雲が周縁に追いやられた意味を整理する。
第3章 阿波という「始まりの国」
地理・水・山・海が揃う阿波の特異性。
なぜ祭祀と技術が集中したのか。
第4章 阿波出雲という概念
出雲は一か所ではなかった。
阿波に残る出雲系神話と原初祭祀の痕跡。
第5章 大国主命は「王」だったのか
大国主命を
支配者ではなく「調整者・生かす者」として再定義する。
第6章 国を治める前に、国を生かす
農・水・医・祭祀。
阿波出雲王権の役割は統治ではなかった。
第7章 勾玉と翡翠が示す王権以前の権威
王冠も剣もない時代、
権威を示したのは石と祈りだった。
第8章 忌部・稲持という技術祭祀集団
王ではないが、王より重要だった人々。
阿波を中枢とした分業ネットワーク。
第9章 飛?はなぜ語られなかったのか
『日本書紀』における
「まつろわぬ民」という表現の裏側。
第10章 四飛?という考え方
飛?を一地域ではなく、
四つの山岳機能圏として捉える視点。
第11章 飛?の匠と王権なき高度技術
国家級技術が、なぜ山にあったのか。
飛?は「王の都」ではなく「王権装置」だった。
第12章 山が王だった時代
王が座る前に、山が聖性を担っていた。
山岳信仰と政治以前の秩序。
第13章 阿波と飛?を結ぶ見えない道
交易路ではなく、祭祀ライン。
剣山と飛?霊山を結ぶ精神的ネットワーク。
第14章 多王権国家という日本列島モデル
単一国家ではなく、
役割分担型・連合型国家としての古代日本。
第15章 邪馬台国以前の世界
邪馬台国は突然現れたのではない。
その前段にあった構造。
第16章 なぜ「王を立てない王権」は消されたのか
系譜・血統・正統性にとって、
最も邪魔だった存在。
第17章 出雲の「国譲り」は何を意味するのか
敗北神話ではなく、
国家モデルの転換として読み直す。
第18章 大和王権は何を引き継いだのか
すべてを否定したのではない。
阿波と飛?の一部は、形を変えて残された。
第19章 修験道と密教に残る多王権の記憶
山伏・山岳修行に残る、
王以前の統治構造の痕跡。
第20章 日本の始まりを、もう一度ほどく
始まりは「中心」ではなく「結節点」だった。
阿波出雲と四飛?が示す、もう一つの日本像。
