『それは古墳か、残土の山か』 ― 田んぼ開拓の土から読み解く、古代墓と塚の真実 ―(電子本)
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『それは古墳か、残土の山か』 ― 田んぼ開拓の土から読み解く、古代墓と塚の真実 ―(電子本)
■序文(立ち読み用)
私たちは「古墳」と聞くと、すぐに古代の王や豪族の墓を思い浮かべる。しかし、目の前にある小さな盛土や丘を見たとき、それが本当に古代につくられた墓なのか、それとも後世の田んぼ開拓や土木作業で出た残土を積み上げたものなのか、簡単には判断できない。
特に地方には、「古墳」と呼ばれながらも、発掘調査が十分に行われていない塚や、伝承だけで語られてきた場所が多く残されている。田を広げるために山を削り、石を取り除き、土を一か所に盛った結果、それが古墳のように見える場合もある。反対に、本物の古墳が後世の開墾によって削られ、残土の山のように見えてしまうこともある。
本書は、古墳をただ信じるのではなく、疑うところから始める。
本当に古墳なのか。
田んぼ開拓の残土ではないのか。
なぜ古墳と認定されるのか。
何が出れば本物といえるのか。
この問いを通して、塚、古墳、開拓、出土品、石室、周溝、古代王権の関係をやさしく読み解いていく。
古代史は、信じるものではなく、土の中に残された証拠を見て考えるものである。本書はその入口となる一冊である。
第1章 古墳は本当に古代につくられたのか
古墳とは何か、なぜ人の手で築かれた墓と考えられているのかを整理する。
第2章 田んぼ開拓の残土説とは何か
田を広げるために出た土が塚のように見える可能性を考える。
第3章 自然の丘・残土山・古墳の違い
見た目だけでは判断できない三つの地形の違いを読み解く。
第4章 古墳と呼ばれるための条件
石室、棺、周溝、埴輪、土器、副葬品など、古墳認定の手がかりを説明する。
第5章 なぜ田んぼの近くに古墳が多いのか
平野・水田・集落・支配者の墓の関係を考える。
第6章 開墾で壊された古墳
古墳が後世の農地造成によって削られ、形を失った可能性を見る。
第7章 残土でつくられた塚の正体
農業用の土盛り、境界塚、信仰塚、供養塚など、古墳以外の塚を紹介する。
第8章 石室があれば本物なのか
横穴式石室や竪穴式石槨など、埋葬施設が持つ意味を読み解く。
第9章 出土品が語る古墳の真実
鏡、玉、刀剣、甲冑、土器、埴輪がなぜ重要なのかを説明する。
第10章 周溝は古墳を見分ける鍵である
古墳の周囲に掘られた溝が、単なる残土山との違いを示す理由を考える。
第11章 盛土の層が語る人工構造
古墳の土はただ盛られたのではなく、計画的に積まれた可能性を探る。
第12章 小さな円墳は本当に古墳なのか
地方に多い小円墳と、後世の塚との見分け方を考える。
第13章 伝承だけで古墳と呼ばれた場所
地元の言い伝えと考古学的証拠の距離を整理する。
第14章 古墳ではなかった塚の例
調査によって古墳ではなく、近世以降の塚や土盛りと分かる場合を考える。
第15章 本物の古墳が残土山に見える理由
長い年月、樹木、農地化、土砂流出によって古墳の姿が変わる過程を見る。
第16章 阿波の古墳をどう見るべきか
阿波に残る古墳・塚・丘陵地形を、慎重に見直す視点を提示する。
第17章 気延山・宮谷古墳・上八万古墳群を考える
古代阿波の重要地域を、残土説と古墳説の両面から読み解く。
第18章 古墳を疑うことは古代史を否定することではない
疑問を持つことが、かえって本物の古代史に近づく理由を述べる。
第19章 古墳認定に必要な調査とは何か
発掘、測量、地中レーダー、出土品確認など、現代的な調査方法を紹介する。
第20章 土の山から古代王権を読み解く
古墳か残土かという問いを通して、古代社会の実像に迫る。
