『秀真伝』和仁估安聡物語!―謎の古文書『秀真伝』を後世へつないだ男―(電子本)
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『秀真伝』和仁估安聡物語!―謎の古文書『秀真伝』を後世へつないだ男―(電子本)
序文(立ち読み用)
江戸時代中期、近江国高島郡に、古代文字で書かれた不思議な文書と向き合った男がいた。
その名は和仁估安聡(わにこ・やすとし)。俗名を井保勇之進としたとも伝えられる人物である。
国立国会図書館の書誌では、和仁估安聡は『ホツマツタヱ―秀真政伝紀』の「釈述者」として記録されている。
安永四年、すなわち一七七五年ごろ、彼がヲシテ文字の本文を書き写し、漢文による説明を加えたとする伝承が残る。
彼は、なぜ膨大な文章を書き残そうとしたのか。そこに記された神々と古代日本の物語を、誰に伝えようとしたのか。
そして、その写本は、なぜ長い間、人々の前から姿を消したのか。本書は、史料に残る事実と伝承をもとに、和仁估安聡の苦悩と使命を描く歴史物語である。
第1章 近江に生まれた男
琵琶湖の西岸に広がる近江国高島郡。古い社寺と伝承に囲まれ、安聡は育っていった。
第2章 井保勇之進という名
日常では井保勇之進、文書には和仁估安聡。二つの名を持つ男の素性を追う。俗名については研究者間で伝承として紹介されている。
第3章 山伏の道
山野を歩き、祈りと修行を重ねる中で、安聡は土地に残る古い神々の物語に引かれていく。
第4章 封じられた文書
ある日、安聡の前に、見慣れない幾何学的な文字で書かれた古文書が現れる。
第5章 ヲシテ文字との出会い
丸や直線を組み合わせた文字。それは漢字とも仮名とも異なる、独特の音の世界を持っていた。
第6章 秀真政伝紀
文書には天地の始まり、神々の政治、暮らし、歌、結婚、国造りの物語が記されていた。
第7章 読めない文字
安聡は一文字ずつ形を比べ、音を確かめ、書かれた意味を探ろうとする。
第8章 五七調の響き
文章を声に出して読むと、そこには五音と七音が連なる歌のような響きが隠されていた。
第9章 神々は人として生きた
文書の神々は、悩み、争い、国を治める存在として描かれていた。安聡はその人間らしさに驚く。
第10章 書き写す決意
紙も墨も貴重だった時代、安聡は膨大な文書を後世に残すため、全編を書き写す決意を固める。
第11章 一文字に宿る責任
わずかな書き間違いが、物語の意味を変えてしまう。安聡は緊張の中で筆を進めた。
第12章 漢文を添える
ヲシテ文字を読めない人にも内容が伝わるよう、安聡は本文の傍らに漢文による解釈を加えていく。
第13章 安永四年の完成
一七七五年、長い書写作業が一つの形になったと伝えられる。後世に「安聡本」と呼ばれる写本の誕生である。
第14章 朝廷への夢
安聡は、この文書を世に出し、国の中心へ届けたいと願ったとも伝えられている。
第15章 理解されない古文書
未知の文字で書かれた文書は、すぐには受け入れられなかった。安聡の志は疑いの目にもさらされる。
第16章 真書か創作か
『秀真伝』を古代の記録と見る立場と、近世に成立した文書と見る立場。その論争は現在まで続いている。
第17章 消えていく足跡
安聡の没後、写本は人々の記憶から遠ざかり、長い眠りに入っていった。
第18章 小笠原家へ渡る物語
十九世紀には小笠原通当が近江で写本の存在を知り、書写や研究を進めたとされる。こうして物語は別の土地へ受け継がれた。
第19章 昭和の再発見
昭和四十一年、松本善之助が古書店で関連資料を見つけたことを契機に、『ホツマツタヱ』は再び注目を集めていく。
第20章 筆がつないだ未来
安聡が写した一文字一文字は、二百年以上の時を越え、多くの人々に古代日本を考える機会を与え続けている。
あとがき
和仁估安聡が『秀真伝』を単に書き写した人物だったのか、翻訳者だったのか、それとも成立そのものに深く関わった人物だったのか。現在も、その実像について確定した答えは出ていない。
しかし、国立国会図書館の書誌に「和仁估安聡・釈述」と記録された『秀真政伝紀』が、現代まで刊行されていることは確かである。
