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阿波稲持族の翡翠穿孔術 ― 硬い翡翠に穴を開けた古代技術の謎 ―(電子本)

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阿波稲持族の翡翠穿孔術 ― 硬い翡翠に穴を開けた古代技術の謎 ―(電子本)

序文(立ち読み用)

古代の勾玉を見て、多くの人が不思議に思うことがある。金属製のドリルもない時代に、なぜ硬い翡翠へ美しい穴を開けることができたのか。

翡翠、とりわけ硬玉はモース硬度がおよそ6.5〜7で、さらに非常に強靱な石である。

現代の考古学でも、石英を含む砂などの研磨材と管状の工具を使えば穿孔できることが実験的に確認されている。

しかし、本書ではもう一つの可能性に注目する。阿波稲持族は、ぬのかわ姫を祖とした稲と翡翠勾玉を生業とした豪族である。

翡翠勾玉を加熱することによって加工しやすい状態をつくり、独自の穿孔技術を完成させていたのである。

高温によって翡翠輝石の組織そのものが変化することは材料科学でも確認されており、「熱を利用した加工」という視点には検討の余地がある。

本書は、この「阿波稲持族の加熱穿孔技法」という仮説から、日本古代の玉作りの謎を追う。

第一章 翡翠はなぜ加工が難しいのか

硬度だけでは説明できない翡翠特有の強靱さを解説する。

第二章 古代人が残した美しい穴

出土する勾玉や大珠に残された穿孔技術を見る。

第三章 金属ドリルのない時代

石・砂・竹などを利用した古代加工を考える。

第四章 阿波稲持族とは何者か

阿波に伝わる玉作り集団の姿を追う。

第五章 阿波に眠る玉作り文化

阿波の石材と古代祭祀との関係を見る。

第六章 翡翠加工の最大の壁

切断より難しかった「穴開け」の秘密に迫る。

第七章 加熱という発想

石を火で処理して加工性を変える古代人の知恵を考察する。

第八章 火によって石はどう変わるのか

加熱・冷却による鉱物組織の変化を科学的に考える。

第九章 「硬度が下がる」の本当の意味

硬度、靱性、割れやすさ、加工性の違いを整理する。

第十章 稲持族の加熱穿孔仮説

翡翠を加熱してから穿孔した可能性を検討する。

第十一章 砂と水が生み出す研磨力

石英質研磨材を利用した穿孔法を紹介する。

第十二章 管玉技術との共通点

管状工具を回転させる古代穿孔技術を考察する。

第十三章 なぜ穴は両側から開けられたのか

割れを防ぎながら貫通させる技術を読み解く。

第十四章 阿波から広がった玉作り

技術者集団の移動と技術伝播の可能性を追う。

第十五章 稲持技法と忌部

阿波の玉作り文化と忌部系技術集団との関係を考える。

第十六章 翡翠勾玉は祭祀具だった

単なる装飾品ではない勾玉の意味を探る。

第十七章 技術を独占した一族

高度な穿孔技術が権力を生んだ可能性を考察する。

第十八章 消えていった古代技術

なぜ伝統的な玉作り技法は歴史の表舞台から消えたのか。

第十九章 現代科学で再現できるか

加熱条件、研磨材、穿孔時間など実験考古学の可能性を探る。

第二十章 翡翠穿孔術は阿波から始まったのか

稲持族を中心に、日本古代の玉作り史をもう一度問い直す。

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