「神々」が高野山に祀られている理由 ―空海と丹生都比売大神、神仏習合の秘密―(電子本)
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「神々」が高野山に祀られている理由 ―空海と丹生都比売大神、神仏習合の秘密―(電子本)
序文(立ち読み用)
高野山は、弘法大師空海が開いた真言密教の聖地である。しかし、壇上伽藍には仏だけでなく、日本古来の神々を祀る「御社」が建てられている。
中心となるのは、丹生都比売大神と高野御子大神である。伝承によれば、高野御子大神は狩人の姿で空海の前に現れ、二頭の犬を使って高野山へ導いた。そして母神である丹生都比売大神が、空海に聖地を譲ったという。
空海は神々を排除せず、密教道場を守る存在として迎えた。そこには、仏と神を対立させず、異なる信仰を一つの大きな世界として捉える日本独自の宗教観があった。
なぜ仏教の聖地に神々が祀られたのか。本書では、高野山開創伝承、丹生都比売神社、神仏習合、密教思想をたどりながら、その知られざる理由を解き明かしていく。
第一章 仏教の聖地にある神社
壇上伽藍の「御社」から、高野山の不思議を探る。
第二章 空海はなぜ高野山を選んだのか
密教修行の道場にふさわしい山を求めた理由を見る。
第三章 高野山へ導いた二頭の犬
黒と白の犬が空海を案内したという伝承をたどる。
第四章 狩場明神の正体
狩人の姿で現れた高野御子大神とは何者だったのか。
第五章 丹生都比売大神とは何者か
高野山の地主神とされる女神の歴史を探る。
第六章 神が空海に土地を譲った
高野山開創に伝わる「神領譲渡」の意味を考える。
第七章 丹生と朱の神秘
丹生都比売大神と水銀朱、鉱山文化との関係を見る。
第八章 高野山より古い神の信仰
空海以前から山に存在した信仰の姿を探る。
第九章 空海が最初に祀った神々
伽藍建設に先立って神々を勧請した理由を読み解く。
第十章 壇上伽藍の御社
仏堂が並ぶ聖域に神社が置かれた意味を考える。
第十一章 神は仏法を守る存在となった
日本の神々が「護法善神」とされた背景を解説する。
第十二章 神仏習合とは何か
神と仏が共存した日本独自の信仰世界をひもとく。
第十三章 本地垂迹という思想
仏が日本の神の姿で現れるという考え方を見る。
第十四章 密教の曼荼羅と日本の神々
あらゆる存在を包み込む密教思想との関係を探る。
第十五章 空海は神道を否定しなかった
古来の信仰を尊重した空海の宗教観を考える。
第十六章 山そのものが神であった
山岳信仰と密教修行が結び付いた理由を見る。
第十七章 神々に守られた高野山
高野山の鎮守として受け継がれた信仰をたどる。
第十八章 明治の神仏分離
共存していた神と仏が引き離された歴史を知る。
第十九章 それでも残った御社
神仏分離を越えて神々が祀られ続けた意味を考える。
第二十章 神と仏は対立しない
高野山が現代に伝える共存と調和の精神を読み解く。
結び
高野山に神々が祀られているのは、単なる飾りや後世の偶然ではない。空海が密教道場を開くにあたり、その土地に古くから宿る神々を尊重し、守護神として迎えたことに始まる。
仏が外から来た新しい教えであるなら、神は日本の山や川、土地に生き続けてきた存在だった。空海は両者を争わせず、一つの聖地の中に共存させたのである。
仏教の中心に神社がある――その一見不思議な風景こそ、高野山が千二百年以上伝えてきた「異なるものを受け入れる智慧」の象徴なのである。
※高野山の公式案内でも、空海が丹生都比売大神と高野御子大神を壇上伽藍の守護神として祀った伝承が紹介されています。高野山真言宗・総本山金剛峯寺
