阿波海部氏は物部族だったのか?高知・物部村から阿波へ――海人族と物部氏を結ぶ古代四国の謎(電子本)
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阿波海部氏は物部族だったのか?高知・物部村から阿波へ――海人族と物部氏を結ぶ古代四国の謎(電子本)
序文
徳島県南部の海部郡を拠点とし、太平洋の海上交通に深く関わったと考えられる阿波海部氏。
一方、高知県香美郡の旧物部村には、「物部」という古代氏族を思わせる地名と、独特の神話や祭祀が残されている。
両地域は剣山山系を挟んで隣接し、山道や河川、海路によって古くから結ばれていた。
では、阿波海部氏の祖先は、物部村周辺にいた物部族から分かれ、阿波の海岸部へ移動した人々だったのだろうか。
海部氏は一般に、海上交通や漁労、船舶を担った海人族の系統とされる。しかし古代氏族は、一つの役割だけを持つ固定的な集団ではなかった。
山の鉱物資源を管理する者が、川を下り、海へ進出した可能性もある。
本書では、地名、神社、系譜、祭祀、鉱物資源、交通路などを手がかりに、高知の物部と阿波海部氏を結ぶ知られざる古代四国の姿を探る。
第1章 阿波海部氏とは何者か
阿波国南部を拠点とした海部氏の歴史と、海上交通を担った氏族としての特徴を整理する。
第2章 高知県物部村に残る「物部」
旧物部村の地名、地形、伝承を取り上げ、古代物部氏との関係を考察する。
第3章 物部村は物部氏の本拠地だったのか
地名だけで氏族の存在を証明できるのか。伝承と史料の両面から慎重に検討する。
第4章 物部氏の祖神・饒速日命
饒速日命を祖とする物部氏の系譜と、天孫降臨神話との関係を読み解く。
第5章 海部氏と海人族の系譜
海部氏、海部、海人部の違いを整理し、古代国家における役割を探る。
第6章 山の物部と海の海部
武器や祭祀を担った物部氏と、船や海上交通を担った海部氏。その共通点に迫る。
第7章 剣山山系を越えた古代の道
高知の物部地域と阿波を結んだ峠道、河川、交易路の可能性を検証する。
第8章 物部川から太平洋へ
物部川流域に暮らした人々が、河川交通を利用して海へ進出した可能性を考える。
第9章 阿波海部郡への移動説
物部地域の集団が東へ移動し、海部郡に新たな拠点を築いたという仮説を検討する。
第10章 海部川に残された記憶
海部川流域の地名、神社、遺跡から、古代氏族の足跡を探し出す。
第11章 物部氏と船の関係
物部氏は陸上の軍事氏族だけだったのか。水軍や船舶との関係を見直す。
第12章 鉄と銅を運んだ人々
四国山地の鉱物資源と、採掘・加工・輸送を担った古代集団のネットワークを考察する。
第13章 忌部氏・物部氏・海部氏
阿波忌部を含む三氏族は、祭祀や生産、輸送を通じてどのように関わったのか。
第14章 神社の祭神から見える系譜
阿波南部と高知東部の神社を比較し、共通する神々や祭祀の特徴を読み解く。
第15章 海部氏は一つの氏族ではなかった
海部を名乗る集団には、複数の系統や職掌集団が含まれていた可能性を示す。
第16章 土佐と阿波を結ぶ海上交易
太平洋沿岸を往来した船と、紀伊・淡路・畿内へ続く古代航路を復元する。
第17章 中央政権と物部氏の敗北
蘇我氏との争いに敗れた物部氏の一族が、地方へ移動・分散した可能性を探る。
第18章 物部族は阿波へ逃れたのか
物部守屋の敗北後、物部系集団が四国山地や阿波南部に残ったという説を検証する。
第19章 阿波海部氏=物部族説の証拠
地名、交通路、祭神、職掌、鉱物資源という五つの視点から仮説を総合的に整理する。
第20章 古代四国に存在した氏族連合
物部・海部・忌部を別々の氏族ではなく、役割を分担した広域連合として捉え直す。
