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最古の祭司氏族消えた忌部氏の謎――阿波・麻・祭祀から読み解く日本建国史!(電子本)

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最古の祭司氏族消えた忌部氏の謎――阿波・麻・祭祀から読み解く日本建国史!(電子本)

序文(立ち読み用)

古代日本には、神を祀り、麻を育て、神聖な布や祭具を作り、朝廷の祭祀を支えた氏族がいた。

その名は「忌部氏」である。

忌部氏は、天照大神の天岩戸神話にも登場する。祖神とされる天太玉命は、天児屋命とともに祭祀を行い、天照大神を岩戸の外へ導く重要な役割を果たした。

彼らは祈りを捧げるだけの祭司ではなかった。麻、木材、玉、鏡、織物など、神事に必要な品々を準備する技術者集団でもあった。

なかでも阿波忌部は、現在の徳島県吉野川流域を拠点とし、麻や織物の生産を担ったと伝えられる。その文化は、天皇即位に伴う大嘗祭へ献上される「麁服」にも受け継がれてきた。

日本各地に足跡を残した忌部氏は、なぜ歴史の表舞台から姿を消したのか。

本書では、『古語拾遺』を中心に、神話、祭祀、神社、阿波の伝承をたどりながら、消えた祭司氏族の謎を読み解いていく。

第一章 忌部氏とは何者か

忌部氏は、古代の朝廷で祭祀に必要な品々を準備した氏族である。神聖な布、木材、玉、鏡、矛などを整え、神と天皇を結ぶ儀式を支えた。

単なる祭司ではなく、農業、織物、林業、石材加工などを担う技術者集団でもあった。

第二章 「忌部」という名前の意味

「忌」には、穢れを避け、心身を清めて神に仕えるという意味がある。「部」は、特定の仕事を担った集団を示す言葉である。

忌部とは、神聖な仕事を専門に担当した人々だったと考えられる。

第三章 祖神・天太玉命

忌部氏の祖神とされるのが、天太玉命である。

天太玉命は、天照大神を天岩戸から導き出す祭祀で重要な役割を果たした。この神話は、忌部氏が古くから祭具の準備や神事を担っていたことを象徴している。

第四章 天岩戸を開いた祭司

天照大神が天岩戸に隠れると、世界は暗闇に包まれた。神々は榊に鏡や玉を掛け、祝詞や踊りによって天照大神を呼び戻した。

この祭祀を支えた天太玉命と天児屋命の姿に、忌部氏と中臣氏の原型を見ることができる。

第五章 中臣氏との違い

中臣氏は祝詞や祓いを担当し、忌部氏は祭具や供物を用意したとされる。

両氏はともに朝廷祭祀を担ったが、後に中臣氏から藤原氏が現れ、政治的な権力を拡大した。これに対し、忌部氏は次第に祭祀の中心から遠ざけられていった。

第六章 阿波忌部の誕生

阿波忌部は、現在の徳島県吉野川流域を中心に活動したと伝えられている。

特に麻殖郡は、その名が麻の栽培と深く関係すると考えられてきた。阿波忌部は山野を開き、麻や穀物を育て、祭祀に必要な品々を生産した。

第七章 麻を植えた一族

麻は、衣服や縄を作るだけの植物ではなかった。神事で使う神聖な布や、天皇に献上する織物の原料でもあった。

阿波忌部は麻を育て、糸を紡ぎ、布を織る技術を伝えた一族とされている。

第八章 神の布「麁服」

大嘗祭では、「麁服」と呼ばれる麻織物が神に供えられる。

阿波から麁服を献上する伝統は、忌部氏と天皇祭祀の深いつながりを現代へ伝えている。そこには、古代から受け継がれた祈りと技術が残されている。

第九章 木・紙・織物を作った人々

忌部氏の仕事は麻だけではない。神事に使う榊、木材、紙の原料、織物など、さまざまな祭祀用品を準備した。

各地の忌部集団は、その土地で得られる資源を活用し、朝廷へ献上したと考えられている。

第十章 玉を作る忌部

古代の祭祀では、勾玉や管玉などの玉類が重要な神宝とされた。

忌部氏は玉作部などの技術集団と関係し、神に捧げる玉の製作や管理に関わった可能性がある。玉は権力の象徴であると同時に、魂を宿す神聖な道具でもあった。

第十一章 阿波の山と鉱物資源

阿波の山々には、石材、木材、銅を含む鉱物など、多くの自然資源が存在する。

忌部氏は山の資源を発見し、それを加工する技術を持っていたのではないか。阿波の玉作文化や祭具製作を考えるうえで、山と川の存在は欠かせない。

第十二章 海を渡った阿波忌部

『古語拾遺』には、阿波の忌部が東国へ渡り、土地を開拓したという伝承が記されている。

阿波から紀伊水道を抜け、黒潮を利用して房総半島へ向かった可能性が考えられる。古代の忌部氏は、航海技術も持っていたのかもしれない。

第十三章 安房国の成立

現在の千葉県南部にあたる安房国には、忌部氏に関係する神社や伝承が残されている。

「阿波」と「安房」という似た地名も、阿波から移住した人々の記憶を伝えるものとされてきた。安房神社には、忌部氏の祖神である天太玉命が祀られている。

第十四章 全国に広がった忌部

忌部氏の足跡は、阿波や安房だけに限らない。

紀伊、讃岐、出雲、筑紫など、各地に忌部に関係する伝承がある。それぞれの集団は、木材、麻、玉、鏡、農作物など、地域の資源を生かして祭祀を支えた。

第十五章 『古語拾遺』に残された訴え

平安時代初期の大同二年、斎部広成は『古語拾遺』をまとめた。

この書物には、忌部氏に伝わる神話や祭祀の歴史が記されている。その背景には、一族の役割が失われつつあることへの強い危機感があった。

第十六章 忌部から斎部へ

忌部氏は、平安時代初期に「斎部氏」へと名を改めた。

文字の意味を改め、神聖な祭祀氏族としての立場を示そうとしたとも考えられる。しかし、改姓によって一族の衰退を止めることはできなかった。

第十七章 藤原氏の台頭

中臣鎌足を祖とする藤原氏は、天皇家との婚姻関係を深め、朝廷の政治を動かす大氏族へ成長した。

中臣氏の祭祀上の地位も高まり、忌部氏が担っていた役割の一部が失われていった。祭祀の変化は、政治権力の変化とも結びついていた。

第十八章 忌部氏は消されたのか

忌部氏が歴史から姿を消した理由を、一つの陰謀だけで説明することはできない。

律令制度の整備、祭祀制度の再編、藤原氏の台頭、地方氏族の弱体化など、複数の要因が重なったと考えられる。しかし、忌部氏の功績が十分に伝えられなかったことも事実である。

第十九章 神社に残された記憶

忌部氏の名は歴史書から薄れても、その信仰は神社に残された。

忌部神社、安房神社、天日鷲神を祀る神社などには、麻、織物、開拓、産業を守る神としての記憶が受け継がれている。

第二十章 阿波忌部と日本建国

阿波忌部は、麻を育てただけの地方氏族ではなかった。

山を開き、農業を広め、祭具を作り、海を渡って新しい土地を開拓した。その活動は、古代日本の文化と国家形成を支えた可能性がある。

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