卑弥呼は剣山を見上げ、静かに告げた ―「この国の秘密は、決して大和へ渡してはなりません」―(電子本)
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卑弥呼は剣山を見上げ、静かに告げた ―「この国の秘密は、決して大和へ渡してはなりません」―(電子本)
著書の紹介
女王・卑弥呼が守ろうとした国とは、いったいどこだったのか。剣山に隠された祭祀場、消えた阿波王家、奪われた神器、そして大和へ渡った者たち――
阿波邪馬台国説を背景に、卑弥呼の最期と古代国家成立の秘密を描く歴史ミステリー小説。
はじめに(立ち読み用)
夜明け前、卑弥呼は剣山の頂を見上げていた。山中の聖域には、王家が代々守ってきた秘密が眠っている。
しかし、大和から来た使者たちは、その秘密を手に入れようとしていた。
「この国の秘密は、決して大和へ渡してはなりません」
その言葉を残した夜から、阿波の歴史は大きく動き始める。これは史実と伝承、そして大胆な想像を織り交ぜ、消された古代阿波の物語を描く歴史小説である。
第一章 剣山を見上げる女王
卑弥呼は山頂を覆う不思議な雲を見つめ、阿波に危機が迫っていることを悟る。
第二章 倭国を揺らす密使
大和から一人の使者が到着する。その目的は友好ではなく、阿波王家の秘密を探ることだった。
第三章 神山の巫女
神山に暮らす若い巫女・トヨは、夢の中で卑弥呼の声を聞き、王宮へ向かう。
第四章 鮎喰川の翡翠
川底から発見された緑色の石には、女王の血筋を示す古代の印が刻まれていた。
第五章 忌部が守る祭具
祭祀を担う忌部氏は、三種の神器につながる特別な祭具を密かに守っていた。
第六章 海部氏の船
海の道を支配する海部氏が、大和の兵船が阿波へ向かっているとの知らせをもたらす。
第七章 封じられた洞窟
剣山の奥深くに、王家の者しか入れない洞窟が存在した。その扉が何者かに開かれる。
第八章 奪われた鏡
卑弥呼の力を象徴する鏡が姿を消す。宮中に裏切り者がいることが明らかになる。
第九章 大和から来た男
大和の使者・ナガスネは、阿波の国を従わせるため、豪族たちに接近していく。
第十章 二人の女王
卑弥呼はトヨを後継者に選ぶ。しかし、その決定に反対する勢力が立ち上がる。
第十一章 消された神名
古い祭文から、後世の歴史書には残されなかった阿波の神の名が発見される。
第十二章 高天原への道
トヨは神官に導かれ、剣山にある「天上の祭祀場」へ向かう。
第十三章 阿波王家の谷
山中の谷には、歴代の王たちが眠る墓と、倭国誕生の記録が残されていた。
第十四章 裏切りの炎
大和に通じた豪族が王宮に火を放つ。卑弥呼は祭具と記録を守る決断を迫られる。
第十五章 女王の最後の命令
卑弥呼はトヨに翡翠の勾玉を託し、阿波の秘密を後世へ伝えるよう命じる。
第十六章 消えた卑弥呼
卑弥呼の姿が宮殿から消える。亡くなったのか、剣山へ入ったのか、誰にも分からなかった。
第十七章 大和へ渡った神器
戦乱を避けるため、一部の祭具が大和へ移される。その由来は別の物語に書き換えられていく。
第十八章 歴史を書き換えた者
阿波の王統を消し、大和を中心とする新しい国の歴史を作ろうとする動きが始まる。
第十九章 トヨの決断
新たな女王となったトヨは、国を守るため、阿波の真実を地名と神社の中に封じ込める。
第二十章 剣山に残された言葉
長い年月を経て、一人の研究者が剣山の麓で翡翠の勾玉を発見する。そこには卑弥呼の最後の言葉が刻まれていた。
おわりに
歴史は、勝者によって書き残される。しかし、消された側の記憶も、山や川、神社、地名、祭りの中に生き続ける。
もし卑弥呼が阿波に存在し、剣山を聖地としていたならば、大和へ渡った神話や神器の物語には、どのような真実が隠されているのだろうか。
本書は、その謎を小説という形で描いた、もう一つの古代日本創世物語である。
